第12章 第十一話 夢現の大地
「ようこそ、ティエドール元帥」
汽車から降りるとそこには、数人のファインダーに出迎えられた。
軽く挨拶を交わしたティエドールの横で、降り立った彩音が辺りを見回す。
駅は活気に溢れ、人々には笑顔が溢れている。
「…ここはなんだか賑やかで平和だね」
「おかしいね…今世界中ではAKUMAが出現していて、どこも大変だと聞いているんだけど」
ちらりとティエドールの方を見る。
ファインダーが深刻な表情をして何かを話していた。
「この国…なんか変かも」
同じく駅に降り立ったユキサが天井を見上げながら呟いた。
その言葉に彩音が首を傾げていると、ティエドールが3人を呼ぶ。
「すまないが神田、ユキサちゃん、彩音ちゃん、不二の4人は、すぐワルシャラ王宮に向かってほしい」
「王宮に、ですか?」
不二が疑問をぶつけると、ティエドールが話し出す。
この地域のファインダーからの話によると。
千年伯爵が大きく動き始めてから、例外なく、この国もAKUMAに溢れた。
元々他国の支配下にあったこの国は戦力も無く、あっという間に滅んだのだという。
そう、滅んだはずなのだ…。
「え、でも…」
「そうなんだ。…何故かこの国は存在している。それもAKUMAたちが出ない平和な国なんだ」
「それを調べてこいって事ですね?」
うんとティエドールが頷いた。
「王宮にいる国王から話を聞いてきてほしい。僕とマリは別ルートから探すよ」
「わかりました」
あ、それから、と承諾した4人に向けてティエドールが続けた。
首を傾げた4人に、ティエドールが少し楽しそうに言う。
「王宮では毎夜毎夜、パーティが行われてるらしいんだ。普段会いに行った所でろくに話も聞けないだろうから…夜のパーティに参加するといいよ」
もちろん、正装でねという言葉に、4人は心底嫌そうな顔をした。