第10章 第九話 沈黙の棺
「ティエドール元帥は?」
「元帥も…町にいる。この様子だと、夜にはバルセロナの町にAKUMAが」
「はあ!?今から走っても間に合わないジャン!?」
急がないとと走り出そうとしたデイシャを止めたのはマリだった。
どうやら海岸でボートの音がするという。
海からまわる手があったジャンと喜ぶデイシャ。
「あれは…!」
前方のAKUMAたちを見て、不二が焦ったように声を上げる。
ファインダーたちがAKUMAに襲われている。
「先行くね」
「ユキサ!」
気をつけて!と彩音の言葉を聞きながらユキサは羽と言霊を発動した。
飛び去ったユキサを見ながら、デイシャもイノセンスを発動する。
「隣人ノ鐘<チャリティ・ベル>!!シュート!!!」
蹴られたベルがAKUMAを倒していった。
それに気づいたAKUMAが一斉に振り返り、ボートに向けて弾丸を撃った。
バッと飛んで避け、続けざまに神田がイノセンスを発動する。
「界蟲一幻!!」
空にいるAKUMAたちが倒されていく。
が、次々と現れるAKUMAたちに、デイシャとマリも応戦した。
「いたたた…」
「大丈夫、彩音?」
一方神田たちと同じようにボートから飛んだ彩音と不二だったが、彩音は着地に失敗して転んでいた。
大丈夫、と笑いながら立つと、すぐにイノセンスを発動した。
「この数…」
「僕たちだけだと厳しいかもしれないね」
空を見上げながらグングニルを構えた不二が地を蹴った。