第8章 第七話 終末への幕明け
「大丈夫でしたか?」
ユキサがイノセンスの発動を解き、視線をクロウリーとミランダへ。
彩音も門の上から降りてきて、歩いてくる。
「あ、ありがとうである…助かったである…」
「し、ししし死ぬかと思ったわ…」
青ざめる新入団者に、これは結構なトラウマを植え付けられたんじゃないないだろうかと周囲は思う。
「くしゅん!」
「そ、そういえば私たち、湯上がりだったね…」
通信機から聞こえるリーバーの指示の下、教団内へ入っていく一同の後を、ユキサと彩音は少しだけ体を震わせながら後を追った。
「黒の教団へいらっしゃい!おかえり!!」
あれから、クロウリーとミランダはヘブラスカにイノセンスを確認してもらい、ついでにクロウリーはコムイに散々体を調べられトラウマを植え付けられた後、2人の歓迎パーティが開かれた。
クロウリーは涙を浮かべ喜び、ミランダに至っては喜びのあまり放心状態だったり…。
前回の歓迎会と同じように、食堂は騒がしかった。
「彩音、ユキサ」
「あ、周助!何処に行ってたの?」
もうパーティ始まってるよと言うと、ちょっと神田とねと返事が返ってくる。
ぴくりと一瞬ユキサが反応したが、特に何も言う事無くそのまま料理を食べていた。
「神田もあとからくるの?」
「まだ夕食は食べてないし、来るとは思うけど…」
不二の言葉にユキサは早く食べて部屋に戻ってしまおうか、いやでもせっかくの歓迎会なのに…と考えを巡らせていた。
そうして手に取った飲み物を飲む。
「あ!ユキサ、それは!!」
「?」
ジョニーが慌てたように言ったが時既に遅し。
遠慮なくごくり、と飲んでしまったその瞬間、ユキサの顔がボンと赤くなった。
ふらつくユキサに、彩音が慌てて駆け寄る。
あぁ…と頭を抱えたジョニーに、不二が問いかければ、中身はスコッチだという。
「ユキサ、大丈夫!?」
「うぅ…、な、なんとか…」