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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第6章 第五話 復活の葉


辛いのは、あなただけじゃない。
奥さんだって、エルダだって、辛いはずだ。
なのにどうして今いる家族を見ないのか。
幻ばかり追いかけて、どうして今を大事にしないのか。

ハッと目を見開いたフレイが、エルダを見る。

「私は大丈夫よ、父さん…」

父さんの方が辛いだろうから、私は大丈夫、そう言ったエルダを、フレイが震える手で抱きしめた。



「教団へ戻るぞ」

歩き出した神田に続いて、彩音と不二も足を進めた。
彩音が振り返れば、家に帰ろうとエルダに伝えたフレイの姿。
嬉しそうなエルダの微笑みに、彩音はもう大丈夫だと思った。



宿で待っていたミヒャエルと合流し、駅へと到着した。
先に汽車へ乗り込んだ神田は、ソファへユキサを寝かせる。
汽車の外では、彩音たちがエルダと別れの挨拶をしていた。

「色々と、ありがとうございました」

私たちはもう一日休んでから帰りますと言ったエルダを、不二が呼んだ。
疑問を浮かべたエルダに、不二が真剣な声で話し始める。

「さっき戦ったAKUMAは…アレは、この世に呼び戻された魂の成れの果てなんだ。…もしも千年伯爵という男が来て、死者を蘇らせてやると言われても、絶対に耳を貸さないで」

不二の言葉に、心配そうな表情をしたエルダの肩を、フレイがそっと掴んだ。
大丈夫だ、もうそんな事は望まない。

前を進もうと決めたフレイの顔は、とても穏やかだった。



「伯爵が2人に近づかないといいんだけど…」

そうだね、と不二が返事を返した。
もしそうなってしまった時、自分たちが手を下さなくてはならなくなる。
それがエクソシストだから。

だが、彩音は信じていた。
きっとあの2人なら、悲しみを乗り越えられる事を。
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