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船上の医師

第2章 正義の致死量


「…………よく分からないけどさ」
 雪乃は口を開く。一言一句漏らさぬように、龍水は耳をそばだてていた。
「喧嘩ばっかりの友達でいいのなら、なろうか」
 私友達居たことないからよく知らないけど。そう言って、雪乃は口角をニッと上げた。右手を高く挙げたその姿勢に、龍水はしばし呆然としたかと思うと。
「ああ!!是非頼む!」
 バッシィィイン!と。二人の手の平がぶつかる。何だか変な心地だ。龍水の事は好きでもないし、かと言って——これまでみたいに、嫌いとは思えない。寧ろ、
「ところで帆船航海だけどさ、そもそもやらない方が船員の生命は無事だと思うんだよね」
「なっ!?貴様、早速喧嘩をふっかけるとはな」
「いや?君が帆船航海さえしなければ医者もいらないだろう」
「くっ、それはそうだが、俺は船員の生命も航海も欲しい!」
 二人はあーだこーだ、と議論を始める。こうして、奇妙ではあるが。二人組めば、きっと最強だと思えるタッグが結成された。
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