第2章 正義の致死量
ドバァアアッ!!
「!!!!来ました!」
薄い濁り腐った液体が、大量に管を通って逆流してくる。当たりだ。
「排液が綺麗になるまで続けて!」
CPRを続け、エピネフリンを3分ごとに注入する。2分ごとにモニターを見てリズムチェックを行いながら、臨機応変に対応する。原因さえ抑えれば怖くない。あとは、
「全力を尽くすまで……!」
そうしてどれくらいの時間が経ったろうか。体外循環により、血液中に残った薬剤を吸着。透析による排除治療を行い——。
……ピッ……
掠れた音であった。ピッ、ピッと心電図の音が響く。やっと、助け出せた。心拍再開。雪乃が叫ぶ。
「ROSC来ました!」
呼吸、意識、バイタルサインを確認してゆく。何とか峠は越えたか。雪乃はベッドにて穏やかな顔で眠る患者を前にして、処置終了を告げた。手を洗い、服を着替えて廊下に出ると。