第3章 加速する想い
驚いて固まっている私を気にする様子もなく、後ろ手に鍵を閉める。
いつもの弱々しい彼はもうそこにはいなくて、ちゃんと男の顔をしていた。
私を挟むように洗面台に両手をついて、逃げ場がなくなる。
「独歩さん、当たってますよ?」
「……当ててる」
熱を持った視線と、熱い吐息が私の体まで熱くする。
裸の私の脚に当たる、スウェット越しに勃ち上がる独歩の昂りに、軽く手を滑らせると、独歩の眉間に軽い皺が寄る。
「……シャワーは?」
「先にこっち」
噛み付くみたいなキスをされ、独歩の首に手を回した。
舌を絡めて角度を変え、何度も繰り返されるキスに酔う。
「んっ……ちょ、いきなりっ……ンぁあっ!」
キスをされながら、早急に入って来る熱に、それだけで体が反応する。
激しく揺さぶられながら、唇を貪り合う。
終わっても、更にお風呂でベッドでと、何度も求められ、日が昇る頃にはクタクタになって、意識を失うように眠った。
カーテンの隙間から零れる光に、瞼が開く。
体を起こすと、ベッドで猫みたいに丸くなる独歩の寝顔が目に入る。
目の下に深く刻まれた隈を撫でると、少し身じろいだけどまた寝息を立て始める。
ふと自分が何も着ていない事に気づいて、周りを見渡す。
目に入ったのは独歩の服。
「まぁ……これでいいか」
寝ている独歩に小さく「これ貸してね」と呟いて、上の服を着て、昨日買った下着を取り出した。
下着を履こうとした瞬間、お腹に腕の感触。
「起きたの? おはよ」
「……ん……おはよう……今、何時だ?」
「えっと……もうお昼だね」
私のお腹に腕を回して、腰に頭を擦り付ける。そして、顔を上げると、少し驚いたような顔をする。
「それ……俺の……」
「あ、ごめんね、勝手に借りちゃった。見てー、ぶかぶか。独歩って華奢に見えるのに、やっぱり男だね。あー……もしかして、駄目だった?」
ベッドの横に立ち、両手を広げて見せる。
彼シャツの方がよかったのかなとか考えていると、腕を引かれてベッドへ戻された。
改めて組み敷かれ、独歩の顔が近づいた。
「が着てるだけなのに、何でこんな可愛く見えるんだろうな」
ふっと笑う独歩に、心臓が跳ねる。