第1章 じぶんかって
「爆豪くんは私のヒーローだよ」
目を真っ赤に晴らして太陽みたいな笑顔で俺にそういったこの泣き虫女は、俺の調子ばっかり狂わせてきやがるから嫌いだ。
嫌いなのに、なんとなく、気になって突き放せない
いつもは鬱陶しいLI◯Eの通知も、なまえからの通知ならウザいとも無視しようとも思わない
むしろ嬉しいぐらいだ
この感情は、どういうものかわかる。だけどあいつに負けた気がしてなんとなく認めたくねェ。
その日は早朝から緊急要請があってヴィランの対応がかなり手こずって仕事が終わるのは遅かった。
7時間前になまえから「あいたい」とメッセージが来てたのに気付いたのは午後2時過ぎだった
なにがあったのか気になって今どこにいるか場所を聞いたラインをしたが、送ったあとに心配になってすぐに聞いてやらなきゃいけねェと思って電話をかけた
あいつは電話に出なかった。むしろワンコールで切られた。意味わかんねェ。
「…なんなんだよクソ」
普段あいつがメッセージ送ってくるとしても「ニュース見たよ、かっこよかった!」だとか「お疲れ様!!」だとかクソどうでもいいこと送ってくるのに、会いたいだなんて送ってくることはないからなんとなく気になってしょうがねェ。