第7章 寂しさ
「なに、好きな奴でもできた?」
「……え?…」
「出張先で一目惚れでもした?それとも一緒に任務に付いてた術師に告白でもされのかな。だからいきなりそんなこと言い出したの?」
「なに…言って…んンッ…」
私が言葉を言い切る前に悟は再び私の口を塞ぐと、今度は先ほどよりも深く深く唇を塞いだ。
好きな人って何…告白って何…それは悟の方でしょ?そう言いたいはずなのに上手く頭も回らなければあまりに深い口付けに息を吸い込むのがやっとで。
こんなの嫌だ…と無我夢中で悟の胸元を強く押し抵抗すると「ガリっ」という鈍い音と共に口内には鉄の味が広がり、それに顔を歪ませた悟がハッとしたように離れていく。
悟の唇の端からはうっすらと血が滲んでいる。多分抵抗した時に私が噛んでしまったんだ。だけど私はうつむき悟から視線を逸らした。
「……ごめん」
先ほどまでとは違い少し落ち着いた悟の声。その言葉にうるうると今にも溢れ出しそうになる涙をグッとこらえる。
「…ど、して…好きな人が出来たのは悟の方でしょ…」