第25章 初めての夜
唇をきゅっと噛み締めた瞬間、近くから聞こえていた話し声が真後ろを通過する。それに悟は私を覆いかぶさるように隠していて、乱れていたお互いの服はいつの間にか元に戻されていた。
ホッと息を吐き出せば、私を見下ろしていた悟が「君のそんな姿、他の奴に見せるわけないでしょ」と囁かれ少しムッとした表情で彼を見上げる。
それならそうと言ってくれればいいのに、めちゃくちゃ焦った。本当にヤバイかと思った。
「睨んできたって可愛いだけだよ」なんてクスクスと笑うものだから余計に腹が立って小さく顔をそらせば、悟の手が再び私の太ももへとスルリと触れた。
ジンジンと寂しさを覚えていた膣が再び一瞬にして熱を持つ。
「っ!?」
「続き、しようか」
「へ?」
次の瞬間には、辺りには白くふわふわとしたモノに身体が沈んでいて、背中にはシーツのヒンヤリとした感覚がする。
それがトんだのだということは聞かなくてももちろん分かっていて、悟の意地悪気な表情と、先ほど同様彼の噛み付くような深い深い口付けに…
この後の展開を想像したら中途半端で終わっていたせいか、歯止めが効かないほど甘い快楽へ溺れていく事など簡単に想像出来た。