第25章 初めての夜
「ご…めんね…?」
「一体何に対して謝ってるのかなぁ?ヒナちゃんてば本当に危機感がないよねぇ」
「…そんなこと、ないよ」
「はぁ、全然分かってないなぁ。僕の気持ち」
悟のそんな言葉に、ゴクリと唾を飲み下す。だって口角は上がっているはずなのに、目はちっとも笑っていないからだ。なんならいつもの碧く綺麗な瞳は少し濁ってすら見える…
「…だって本当にあの人達困ってたから…それに私一級だよ?あの人達より強いし…」
悟はそんな言葉に、ニヤリと口角を上げサングラスを胸ポケットへと忍び込ませると、その瞳を穏やかに細めそして口を開いた。
「ほーら、やっぱり分かってない。違うよ、アイツらに対しての危機感なんかじゃない。そりゃあ僕だって君が強いのは十分分かっているしね。つまりはさ、こんな事をしたら一体僕にどんなお仕置きをされるかちっとも分かっていないんだねって意味だよ」
「おし…おき…?」
「危機感の欠除。嫉妬に狂った僕に一体どんな事をされるのか、これっぽっちも分かっていないんだよねぇヒナは。本当に君って人は、僕のドロドロな感情で汚してしまいたくなるほどに純粋で可愛いくて困っちゃうよ」