第25章 初めての夜
心臓が痛い。
痛くて、痛くて、今にもはち切れてしまいそうだ。
指先はカタカタと小さく震え、そして息をするたび吐きそうだった。
あぁ、私は今…酷く緊張しているのだ。
そう感じるのに時間は掛からなくて…ただ目の前の美しい男の横顔を見てゴクリと唾を飲み下した。
そんな私に気が付いた彼がこちらへと顔を向け、そしてぱぁっとまるで砂糖菓子のようにふわふわとした眩しい笑顔で私を写す。
こんなにも可愛らしい笑顔を向けてくれるにも関わらず、彼の表情は何処か色っぽく、そして甘美な雰囲気を漂わせているから不思議だ。
本当に絵になる人だなぁ
そんな事を考えながら「おいで」という言葉に導かれるようにして歩みを進めれば、彼の座るベッドの前で足を止めた私を見上げ、ゆるやかに目尻を下げた。
「また随分とエッチな服着てるねぇ」
ツーっと腹部を悟の長い指先が下りていく。そして優し気に微笑んでいた表情を少しばかり意地悪なモノに変えニヤリと口角を上げた。
「これは…お風呂から上がったら用意されてたの…」