第23章 最強の看病
「ヒナ、大丈夫だよ。君が嫌がることは、僕は絶対にしないから」
その言葉が何かのおまじないみたいに私の心を満たし安心させていく。
悟の優しく穏やかな声と表情に、私はまるで何かの魔法にかかったみたいにゆっくりと口を開いた。
「私を好きだって忘れていた時…悟は他の女性と何かあったり…した?」
どう口にしたら良いのか分からず、なんなら直接的な言葉を口にする勇気はなくてそう言えば、目の前の悟は一瞬驚き動きを止めたあと、すぐにその表情を元に戻し優しく私の頬に手を置いてゆっくりと口を開いた。
「何もなかったよ、大丈夫、僕を信じて」
優しく、まるで私を安心させるようにして発したその声は、温かくてとてもゆるやかな声色だ。
「他の女に興味なんて微塵も沸かなかった。会ってもいないし、話てすらないよ。ヒナへの感情を忘れていたとしても、僕にとってはどこかでヒナだけが特別だったから。だから好きという感情を忘れていたとしても、それが他の人物へと移ることはない。だって僕は昔から、ヒナ意外の女に少しの興味も持った事が無かったからね」