第21章 忘れモノ
最後に腹部へと強い打撃を与える。1秒でも惜しい今のこの状況でクズ野郎に時間を割いている暇はない。あとは傑がどうにかするだろう。
僕がトぼうとしていることを傑は気が付いたのだろう。「悟!」という傑の声を最後に両手を合わせた。
呪いが発動している呪具の場所はすぐにわかる。腐ったような負の感情がジワジワと滲み出ているからだ。
薄暗く湿った地下室へと足を踏み入れると、ある場所へと真っ直ぐに足を進める。
「これか」
そこには少しばかりの血痕が残った古びた刀。持ち歩かず保管している所を見ると、扱いづらく強い力に普通の術師じゃ普段扱う物としては使い物にならなかったのだろう。
面倒な呪いがかかっているのは間違いない。
酷く汚く禍々しい。
しかし僕からしたらこんな物の破壊など造作も無い事だ。
それを強く握りしめ軽く力を込めれば、一瞬にしてチリとなり床へと落ちていく。