第19章 大切な記憶
「行こうヒナ」
「どこに?」
「私の家だ、今日は泊まって良いから」
「…良いの?」
「あぁ、五条と何かあったのはバレバレだからな。アイツと一緒にはいたくないだろ」
「…うん、ありがとう」
どうやら硝子にも傑にも私達の間に何かがあったのはお見通しのようだ。
本当に頼りになる同期で、そして優しい。私達は今日の仕事があらかた終わっている事もあり、そのまま荷物を取ると硝子の家へと向かった。
途中、硝子のお気に入りだというお惣菜屋さんにも寄って食べ物と飲み物を大量に買った。硝子の家に行くのはかなり久しぶりで、お互い忙しくてなかなか会えて居なかったのだと気がつく。
まぁもちろん高専ではあっていたのだが、こうしてプライベート空間で会うのは凄く久々だ。
だからだろうか、久しぶりに訪れた硝子の部屋は、以前と同じくやはりガランとしていて物が少なかった。うん、やっぱり皆んな家なんて寝るために帰ってきているような物なんだなぁ。と納得する。