第19章 大切な記憶
「でも正確に言えば、ヒナとの記憶じゃない。アイツにとっての一番大切な感情を忘れている。つまりヒナを好きだと言う感情を忘れてるんだ。そしてそれに関する記憶も全て」
なに、それ…
私を好きだと言う感情を忘れてる…?
「今日の任務は特級相手だったらしい。領域に入るための条件としてわざと呪いを受けたそうだ。呪霊は問題なく祓ったらしいが受けた呪いが解呪されていない。だけど五条は自分が呪われたままなのは分かってはいるが、それにより自分がどんな記憶を無くしているのかは分かっていない」
「そんな…」
「呪霊を祓ってはいるんだ。そのうち時間が経てば解呪されるはずだが場所が悪かった。土地神を祀る場所での任務だったせいか、場を荒らしたせいで土地神が怒りをぶつけてさらに呪いがややこしくなったのかもしれない」
「いつ頃解呪されるかな…」
「わからない。明日かもしれないし、数ヶ月後かもしれない。しかも他者から忘れた記憶への助言は呪いを手助けしかねない。こちらから五条へ何かを言うことは出来ないんだ。アイツが自ら思い出すか、もしくは解呪されるのを待つしかないということになるな」