第19章 大切な記憶
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バンっと勢い良く扉を開く。
その瞬間、目の前の光景にホッと息を吐き出した。
『五条に問題が起きた』
自身の任務が終わり、硝子からそんな電話が来た時私の心臓は痛いほどに音を上げ、手にはじんわりと冷や汗が滲んだ。何故ならその言葉は悟に何かあったのは間違いなかったからだ。怪我をしたの?だけど彼が怪我?そんなの現実的じゃない。でも高専時代大きな怪我を負った事もある。馬鹿みたいに痛む心臓をかかえながら必死に医務室まで走った。
「あれ、ヒナどうしたの?」
だけれどいざ向かった高専の医務室では、クルクルと回る椅子に傷一つない姿で座っている悟の姿。
傷どころか呑気にココアをすすりながらこちらをキョトンと見ている。
「え、だって…悟に何かあったって連絡が…」
「え?僕?あぁでも大丈夫だよ。なーんの問題も無いから、不便はないし」
…不便はない?
「僕のこと心配して急いで来てくれたの?本当幼馴染思いだね〜」
…幼馴染思い?
その言葉に少しの違和感を覚える。