第5章 今夜から
あの後、ピンク髪の少年を連れ高専に戻った私達は上との話し合いの結果、彼の秘匿死刑が決定した。
しかし悟がそんな事を簡単に許すはずもなく、特級呪術師であり五条家当主の五条悟はそれ相応の権力と、そして誰もが驚くほどの頭の回転の速さと非常に巧妙な話術で上を黙らせ執行猶予を付けさせたのだ。
それを悟から聞いた時、私と恵君はほっと安慮の溜息を吐き出した。
ピンク髪の少年虎杖悠仁君は呪術高専の一年生として私と悟が受け持つことになった。
うん、悟の隣にいることが彼にとって一番安全で安心なのは間違いない。悟が出張で留守の間はもちろん私がそばにいるわけだが、力不足にならないよう私も気を引き締めないといけない。
そう思ったのも束の間、悠二君は呪術界には珍しいほどの根明でとても素直な少年だった。
笑顔が太陽のように眩しくとても気さくで周りにも気を遣える。たった数日しか一緒にいないのに、それは誰が見ても分かるほど彼が善人だというのが見てとれる。
きっと彼を嫌う人はいないんだろうな。自然とそんなことが思えるほどに、彼は明るくて可愛い少年だった。
なるほど…恵君があんな事を言ったのも納得ができる。
悟に比べれば、私に出来ることなんてたかがしれているが。それでも彼を守ってあげたい。そう思うには十分なほど虎杖悠仁という少年はとても良い子だったのだ。