第19章 大切な記憶
グラウンドから楽しそうな声が聞こえてくる。そちらへ向かうと少し遠くから声をかけた。
「悟ー!伊地知君が任務が入ったって探してるよー」
一年生3人と何やら盛り上がっていた悟はこちらへと振り向くと、パァッと嬉しそうな笑みを見せた。
生徒たちの目の前であんな満面の笑みを見せてくるなんて反則だ。
「うっわー、五条先生明らかに嬉しそうね」
「本当だな」
「二人見てると恋人欲しくなるよなぁ」
案の定、一年生3人組はその見慣れた光景に驚くことなくそれぞれ思うままに私達を眺めていた。
「わざわざ呼びに来てくれたのー?それとも僕に会いたかったとか?」
そんな事を言いながらこちらまで歩いてきた悟は、さらりと私の髪を撫でながら目隠しをしていても分かるほど嬉しそうに私を見下ろす。
「伊地知君が、悟が電話に出ないって泣きそうになってたよ。早く行ってあげないと」
「えー、それ行かないとダメ?僕もたまには生徒達とはしゃぎたいんだけどー」
「だーめ、特級案件だってさ。気を付けていってらっしゃい」