第15章 隠れた気持ち
こういった行為も、服一つ纏わぬ姿もまだ二度目だというのに、前回と違い今はただひたすらに悟にもっと近付きたいという思いで必死で、羞恥心はいつの間にか引き出しの奥底へとしまわれていた。
室内には、シーツの擦れる音と、グチュグチュと水が溢れ出す音。あとは互いの息遣いと、稀に聞こえてくる甘い声だけだ。
数時間前までは絶望の淵にいたはずなのに、今はただ甘いだけの酔い潰れたくなるような空間にいる。本当に、人生とは分からぬものだ。
お互いに貪るようにして甘い刺激を与え続けられたイイトコロは、信じられないほどに気持ちよく思考を鈍らせた。
頭が馬鹿になりそうだ。目眩がするほどに。
「あっ…んンッ…ふぁ…っ…」
「…っ…気持ち良い?」
「……ん…きも、ちッ…ァ…」
「素顔だね、良い子」
妖艶な瞳で見下ろされ、よしよしと頭を撫でる悟は少しばかり眉間にシワをよせると、悟のモノを上下していた私の手に大きな手を重ねゆっくりと静止させられる。
先ほどまでの熱い行為が一時止まり、静まり返った室内には肩でハァハァと息をする私の息遣いだけが響いた。
「ヒナ…良い?」
それが何に対しての「良い」なのかは聞かなくても分かった。私だってそんなに鈍くはない。
ゆっくりと頷くようにして頭をこくりと頷けば、悟の頬にさらりと手を添え「うん、良いよ」と静かに穏やかな声を出す。