第15章 隠れた気持ち
「それよりも、ヒナに聞きたいことがあるんだけど」
私から少しばかり身体を離した悟は、首を傾け私の顔を覗き込んでくる。
「…なに?」
一体何を聞かれるんだろう。そうビク付く私に悟は安心させるようにして右手で背を撫でると、ゆるりと瞳を細めた。
「僕はヒナが好きだよ。ヒナは…僕のこと好き?」
その言葉に、泣きすぎて腫れぼったくなった瞳を思わず大きく見開いた。何故なら、思っていたような質問からはかけ離れていたからだ。
かと言って、何を聞かれるかなんて想像もしていなかったのだか、全くもってこんなことは想像すらしていなかった。
「…え?」
大きく目を見開きそんな言葉しか発せない私に、悟は特段いつも通りの表情を向けるとスラスラと話し始める。
「ヒナのさっきの態度とか発言を聞いて、もしかして嫉妬してくれてるのかなぁって思ったからさ。あ、違った!?僕の恥ずかしい勘違いだった?」
優しげに細めていた瞳を、今度は照れたようにして少しばかり見開くと、その白い頬を軽く染め恥ずかしそうに呟く。きっとこんな焦った悟も、こんな表情をする悟も、私だけが見ることの出来る彼なんだと思う。
「まぁ正しくは…そうだったら良いなっていう、僕の願望なんだけど」