第14章 見たくない
私はそのまま、何事も無かったかのようにして補助監督の車へと乗り込んだ。
まるで昨日の自分が滑稽に思えるほどに今日は冷静だった。
車内では溜まっていた書類に全て目を通して、書きかけの報告書までメールで提出したほどだ。
うん、何だか今日の私は冴えてる。いつもよりも頭のキレがいいし、何だかやけに仕事が捗って仕方がない。
高専へと付けば、グランドで鍛錬をしている二年生達にニコニコと大きく手を振り職員室へと行く。
最近忙しさのあまり山積みにされていた書類を手に取ると、それらを次から次へと処理していく。なんせ、今日の私は冴えてるから。こんな時にたまった仕事を片付けていかなきゃいつやるんだ。とさえ思えてくるほど仕事が捗った。
なんなら職員室の掃除なんかも少ししちゃって、皆んなのデスクまで拭いてあげた。悟のデスクを見た瞬間、少しだけやる気が落ちて…彼のデスクは拭かないでその隣のデスクを拭いた事は許してほしい。
だって、何だかやる気が出なかったんだもん。
なんでだろうか。
まぁでも、悟ってあんまりデスクで仕事してないしって事で、許してほしい。