第12章 溶ける蜜
「せっかく我慢してたのに…君は本当に、僕を狂わす天才だ」
悟の甘く低い声が私の耳元でこだまする。
その瞬間、離れていた悟の顔が近づいてくると、一気に激しく唇を奪われた。
「…んっ…さとッる…」
先ほどまでとは違う噛み付くようなそのキスに、ただ必死に着いていくのが精一杯で。
気がつけば悟の手によりブラウスのボタンが外され、下着もろとも上下とも服を脱がされる。あまりに突然の出来事と、そして流れるようなその動作にキスをされながらボーッとする頭で必死に悟を見上げれば
表情を崩す事なく自分のシャツをベッド下に投げ捨てた悟が、私を真っ直ぐに見下ろしていた。
綺麗だと思った。
その完璧な鍛え上げられた身体が。
白くまるで絹のような滑らかな肌が。
女性の私ですら到底敵うはずのない色気と妖艶なその姿が。
「後悔しても、遅いからね」
ゆるりと口角を上げ、碧く透き通った空のような瞳は、今はギラギラと欲望のままに獲物を捉える獣のようだ。
あぁ、ヤバイ。
きっと私は悟の触れてはいけない所に手を差し伸べてしまったのだと、今更ながらに思い知る。