第11章 甘い休暇
うん、分かってる。いや分かってるんだ。十分に。
こんな馬鹿みたいな安っすいコメディー劇場を頭の中で作り出してしまうほど、自分がテンパっていてどうしようもないということは。
こんな事なら傑に聞いときゃ良かった。初体験ってどんな感じでしたか?って。
多分というか絶対に、馬鹿にされて大笑いされて硝子への面白おかしいネタにされるだけだろうけど。聞かないよりはマシだ。少しくらいは参考になったかもしれない。
まぁでも今はそんなことを考えるよりも、この目の前のめちゃくちゃ可愛いくてめちゃくちゃエロい僕の大大大好きな婚約者をどうにかして説得しないといけないわけで…
あぁーこのまま触って欲しい。なんならこのまま突っ込んでぐちゃぐちゃにして、もう無理だと言われるまで愛でまくりたい気持ちを押し殺してゆっくりと口を開いた。
「僕は大丈夫だよ、ヒナが気持ちよくなってくれればそれで満足だから」
うん、我ながら完璧な答えだ。
余裕気に目尻を下げて微笑めば、目の前のヒナはピクリと身体を揺らしながら、頬をやや赤く染めたまま僕を不満そうに見つめ返した。