第11章 甘い休暇
悟の予約してくれていたレストランは、水族館に隣接されたレストランだった。
落ち着いていて、お洒落な雰囲気を醸し出しているレストランはこれまた高そうで、水族館と雰囲気を合わせているのかレストラン内にも大きな水槽が置かれている。
まるで夜景を泳いでいるみたいに熱帯魚達がキラキラと光りながら気持ち良さそうに水槽の中で踊っているその光景は、きっとなかなか食事をしながら見れる光景ではない。
お魚を見ながらお魚を食べるというなんともシュールな状況ではあるが、目の前のお魚に感謝の気持ちを込めてそれはそれと割り切り美味しく頂く。
「どうだった?初デートは」
完璧にテーブルマナーをこなす目の前の彼はやはり良いとこの当主様だというとこが良く分かる。まぁ私もそこそこ良いところの娘ではあるのだが。何でもスマートかつさらりとこなす彼には劣るはずだ。
「今日一日すごく楽しかった、デートって初めてだったんだけどこんなに楽しいんだね」
この年でデートが初めてだと言うのも何だか恥ずかしいが、そんなことお見通しな悟に言葉を濁す必要もなくそうストレートに言えば、悟は嬉しそうに口角を上げて微笑む。
「それは良かった、僕もすごく楽しかったよ。ヒナの笑った顔もたくさん見れたしね」