第11章 甘い休暇
「まずは腹ごしらえからだね」
「うん!お腹すいたぁ」
今では当たり前のように握りしめた手を引かれながら訪れたのは、少しこじんまりとしたレンガ調の可愛らしいカフェだ。
SNSでどうしようもないほどに人気が出ているというよりは、知る人ぞ知る常連さんがたくさんいそうな素敵なカフェ。
扉を開けた悟についていけば、チリンチリンという透き通るような音が私達が来た事を知らせる。
「いらっしゃいませ、2名様でよろしいですか?」
「はい、2人で」
店員さんに案内され付いていけば、テラスの見える窓際の席に案内された。店内は広々としているわけではないがとても心地よい空間が広がっていて、可愛い花々や植物が丁寧に置かれている。
「すっごく素敵なお店だね!」
「でしょっ。ここランチも絶品らしくてさ、楽しみだよね」
思わず感心してしまうほど可愛らしく素敵な店内に、どうやら食べ物まで絶品らしい。
いつも生徒達を食事に連れて行く時や、傑や硝子と飲みに行く時は悟はやたらと高そうな高級店に行くことが多かったから、正直とても驚いた。それに、なんだかこんな可愛いお店に悟がいるのがどこか少し面白くて、だけどきっとこれも私を思って私の好きそうなお店をチョイスしてくれたんだということが分かる。
その証拠に、とても私好みでこのお店をとても気に入った。