第11章 甘い休暇
「何処行く?」
隣にいる悟を見上げそう言えば、悟はサングラスの隙間から見えるキラキラと綺麗な瞳を細める。
そうえいばデートをするってなっていたのに、何処に行くかは決めてなかったし考えてもいなかった。というか…デートなんて人生で初めてだ。こんな歳して初デートだなんて…と今更ながらに緊張してきてしまった。
「僕色々考えて来たんだ。もしヒナが嫌じゃなければ、僕に任せてくれる?」
「悟考えて来てくれたの?」
「うん、だって僕達の初デートだよ。失敗したくはないからね」
「そっか、ありがとう!でも私…何にも考えてこなかった…ごめんね…」
悟が色々と考えて来てくれたということに喜びを感じながらも、自分が全く考えてこなかったことを申し訳なく思う。悟はちゃんとこの日の事を考えて忙しいながらにもデートプランを決めてくれたというのに。
「気にしなくていーんだよ、僕がやりたくてやってるんだから。だからさ、ほら、行こう!せっかく一緒にいるんだから時間が勿体無い」
笑顔の悟に手を引かれ、悟のこういうところに昔から何度も助けられて来た事を思い出す。いつだって私の手を強く引いてくれるのは彼だった。
いつだって私を笑顔にしてくれるのも、悟だった。