第11章 甘い休暇
何とか交流会も終わり、あれ以来高専を襲ってきた特級呪霊や呪詛師の動きもない。
奪われた特級呪物と、その捜査は続けられているものの、何が目的で呪物が盗まれたのかは未だ不明のままだ。
何はともあれ、最近慌ただしかった高専に少しの平穏が訪れ、学生達は3日の休暇。そして副担任である私は1日の休暇と、忙しいながらにも悟には半休が与えられた。
そして何と今日は…
悟と婚約して、初めてのデートなのである。
食事に行こう、少しだけでもデートしようとは前々から悟が言ってくれていたものの、近頃色々な事があったからかお互い目が回るほどの忙しでなかなか行動に移すチャンスがなく、やっと今日半日ではあるものの2人とも休みが一緒になった。
休みが一緒になった時の悟といったらそれはそれは嬉しそうで、ニコニコとはしゃいでいて、普段最強と呼ばれている彼がこういった幼い部分を見せてくれるのが嬉しく可愛いと思った。
本来ならば190センチを越えた28歳男性に対して可愛いなどと言うものではないのかもしれないけれど、だけど笑顔の悟を見ると、ついそう思わずにはいられなかったのだ。
前までそんなこと考えたこともなかったのに、きっと一緒に住んでから彼の色々な部分をさらに知ることが出来た。幼馴染として20年を共にしてきても知らないことがいっぱいあったんだな、とそう思う。