第2章 幼なじみ
「カバンここに置いとくよ」
「うん…ありがとぉ」
玄関を開けてくれた悟はカバンを棚の上に置くと、ポケットへ手を入れて私が靴を脱ぐのを眺めている。
眠気の限界が来ているけど、とりあえず歯磨きと洗顔くらいはして眠りたい。シャワーは…明日の朝で良いや…
「鍵閉めてね」
「うん…」
「ちゃんとベッドで寝るんだよ」
「はぁい」
「それじゃあね」
「うん…送ってくれてありがとぉ」
「また明日」
「ん〜…」
眠さのあまりぼーっとしていた私はこの時気が付きもしなかった。悟が「また明日」と言っていた事も、ニッコリと意味ありげに優しく微笑んでいたことも…。