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魔法の結婚契約書、破棄させて頂きます

第2章 負積の使い魔


「嘘だ…レム・ルーブル人生初の汚点だ」
「ねえ、そんな落ち込まれると私の立場がないんだけど」
「どーにもならねーんだ、ちょっと嘆くくらい仕方ないと思いませんか?馬鹿女ご主人様」
「だれが馬鹿女だ!!失礼だって言ってるのこっちは」

私達はまたお互いを睨み合い取っ組み合いを始める。お母さんは楽しげに林檎を頬張りながら絵本を読んでいて止める気が無い様子だった。そんな引っ掻きあいの喧嘩をしているとコンコンとノックする音がして、ムルアさんが中に入ってきた。


「ルーブル一家の長男は冷徹残忍と聞いたが、あまりにも程遠いな」

ムルアは落ち着いた様子で腕を組み、私のベッドまで来てこちらの様子を見た。

「はじめまして、レム・ルーブル・フィオ・アルデンティと申します。気軽にレムとお呼びください」

レムは私との態度と打って変わって、ムルアにキラキラした笑顔で丁寧な(人形だけど)お辞儀をしてみせる。

「まあいい。試験は初級中級の使い魔召喚だった、しかし何者かの細工で魔法陣が描き変わっていてね。君はその暴走に呑まれてしまった様だ。しかし、まあ、なんと運がいいのか。四巨頭の一つ、ルーブル一家と契約を果たした事で生き延びたようだな。しかしまあ、今回の魔法陣が召喚するのはあくまで中級以下の使い魔。魔力調整が起きた様だわ、レム君はそれに巻きこまれたってわけ」

「ほらー、ご主人様のせいですって」
「だから知らないから!契約破棄は…!」

私は胸元から契約の紋章を出し、そこに破棄するための魔法を唱える。しかしビクともしない。

「あー、無理ですよー。考えてみてください、貴女が契約したのは魔力量も肉体も万全な俺、ここにいるのは貴女と協力して独房から出て魔力量からからで、どうも肉体を戻せない俺。つまり、契約した相手が居ないってことです。馬鹿でも考えたら分かりません?」

「分かるかあ!!」

はっと鼻で笑ったレムに私は頭がきてレムの頬を引っ張る。

「痛い痛い、たんまー」

「はぁ…とにかく、君が呼び出したのは最高ランクの使い魔だ。訳ありだがね。試験結果もここに置いておく。以上帰ってよろしい」

私達に呆れたのかムルアは頭を抱えて、1枚の封筒だけ置いて去っていくのだった。
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