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SANAFE【テニプリ跡部R18】

第2章 それとも過ち


カーテンの開いたままの大きな窓から
月の灯りと庭のライトのもやだけが部屋を見渡すしるべ。

2人の間に会話らしい会話はなく、跡部はなにか少し焦り気味に私に唇を落としていく。逃げる訳ないのに。唇に鼻先に、頬に。それから

「……っ」

耳元に はぁ、と熱い温度が送られてくる。びくりと身体が勝手に反応する。

「色鳥……」

「ぁ……」

耳元で跡部が私を呼ぶ。いつもの、知り合った頃となんら変わらぬ呼び方で。ただ息遣いが違う、本当にこのまままだ知らない跡部を知る事になるんだ。そう実感した。跡部の腕に包まれながら、ゆっくりと身体をベットに軋ませる頃 跡部の熱い舌は私の首筋をなぞっていた。

そうか、こんな風に跡部は女の子を抱くんだ
そんな事を俯瞰で感じながら 送られてくる快楽に目を綴じる。

ねぇ、どうしてそんなに
優しく触れるの?

勝手に抱いてきた跡部のイメージと違いすぎて。そしてやっぱり私の脇腹をなぞる掌がもどかしさを感じる。わざと、なの?それとも。





何か言葉を交わせば 消えてしまいそうな
そんな緊張感の中 好きだ、という言葉を吐きそうになっては押し込める。

俺がこの気持ちに気付いたのは もう随分前の話で。だがその時は既に色鳥は奴に夢中だった。いや、むしろその姿を見るのが好きだった。いつも真っ直ぐに恋人を見つめ、それに彼奴も応えていて そこに俺様が入る余地なんてなく。もし無理にこちらを向かせたとしても、俺は色鳥を傷付ける自信しかなかった。

……それは今も同じか。
俺と彼奴は違いすぎる。

秘めた思いの強さが 今もまだ色鳥を壊してしまいそうで 出来るだけ丁寧に丁寧に…ふれる。


ずっと横目で見ていた欲しかったものが
今この腕の中で まっさらな姿になっていく。
さらけ出された色鳥の背中が想像よりも白く、それにため息をつきながらくちづけた。

「ふ……ぁ」

息を漏らすだけの色鳥。なぁ、どうしてだ?これまでもその手を掴み、見つめては。何度も迷っては手離した。例えあいつと別れても 俺とだけはないだろうと思っていたのに……

そんなにも 今のお前は
虚無の中ということか?



それとも きまぐれ――
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