第18章 白虎のお里に行ってみよう
小川が流れている所で、比較的煙の少ない場所があったから、そこに腰を落ち着けた。
海岸は確かに煙が少ないんだけどさ、一番外敵に見つかりやすいんだよね。
まぁ、こんな不毛の地で誰に見つかるの?って話だけど、念には念を入れて、なるべく内陸の方で休むことにしたのさ。
で、そこで火を起こして小川のお水を沸かしてみた。
意外にも真水で飲めるやつだったから。
湧き水に近くて、美味しいの。
どっから流れてくるのかなって思うけど、この暗さと煙の中じゃ調べられないから明日また探しに行こうと思う。
「そろそろいいかな〜…。」
と、ここでさっきのオヒレアの花を焚き木に焚べてみた。
もちろん、鍋にはしっかり蓋をして灰が入らないようにブロック。
すると、いくらもしないうちにもくもくと煙が立った。
薬草みたいな独特の匂いが少しあるけど、硫黄を中和してくれる分、少しはマシになるんじゃなかろうか。
「…さっきより大分いいかもしれないな。」
先生が違いに気づいて呟くと、双子が怖々と顔からタオルを少し外す。
「うん…マシにはなった…かな…。」
「さっきほどじゃないかも…。」
千雪、紗雪が呟くのを聞いて、がさごそと花を取り分けた。
持続時間は分からないけど、細く長くでもいいから持たせたいよね。
「明日、これもうちょっと買ってこようかな。」
何となく買った物がこんな重宝するなんて思わなかったわ。
「「私も行く。」」
「え?」
「「え?」」
いやいや、あなたたち、主役よ?
「俺も行こうかな。」
『『ボクも。』』
全員で行くの?
「…いっそのこと、出直します?」
聞いてみたら、全員が苦笑いした。
あ、だめだこりゃ。
「よし、撤収しよう、撤収。確か隣に小さな小島がありましたよね。」
火は起こせないけど、マントもあるし、なるとかなるっしょ。
荷物纏めて火の後始末を始めると、先生も手伝い始めた。
「…お前って昔から踏ん切りがいいよね。」
「だめだと思ったら撤収が一番ですから。」
にっと笑うと、先生はふっと小さく笑う。
私達はさっさか片付けて隣の島へと移っていった。