第9章 久々に血が騒ぐわ…!
「おっはようございま〜す!」
ガチャっと開けて第一声。
声がデカかったらしく、斬不斬さんから顔を顰められた。
「もう治りやがったのかよ。あと二日くらい沈んでりゃあいいのに…。」
「ひどいわ〜。そこは元気になって良かったねって言ってくださいよ。」
そこへ、隣の書類室から白が出てきた。
「おはようございます。エニシさん、治って良かったですね。」
「ありがとう、白。見て、斬不斬さん。この完璧な対応。是非とも見習って。」
「喧しい。余計なお世話だ。」
こっちを見ようともしない斬不斬さん。
段々とあしらわれ始めたわ。
「あ、そう言えば。イタチさんから伝言を預かってます。用があるとのことで、先に行く、と。」
「あ〜…、そっかぁ…。」
行っちゃったかぁ…。
ま、しゃーない。
あとで追いかけよう。
「んじゃ、まずはお仕事しますか。」
「もう、大方片付いた。だからさっさと行け。」
「え、いやでも…」
「エニシさん。今回もありがとうございました。方向性もしっかりしましたし、後は僕達だけでも大丈夫ですよ。」
…そう言われちゃうとね。
ちょっと困りながらも二人を見ると、白はにこにこと、斬不斬さんはツンと無反応。
「私今回、そんな活躍してない気もするんだけども。」
そう言ったら、白から苦笑が返ってくる。
「何言ってるんですか。しっかり、解決しましたよ。」
「全くだ。残党を全滅させといてよく言うぜ。」
「タズナさん達の停滞も道標をつけましたし。」
「…そう?」
年々、”やり切ったぞ”感が薄らいでってるんだけども。
まぁでも、そう言ってもらえるなら来た甲斐はあったってことでいいのかな?
「じゃあ…、お言葉に甘えて。そろそろお暇します。」
そう言って、ドアから出ようとしたところで、白から袖をくいっと引っ張られ、振り返った。
「エニシさんの守りたいものを守ってきてください。」
こそっと言われたその言葉に、一瞬驚いてから思わず笑顔になった。
「ありがと、白。」
「はい。では、お気をつけて。」
「うん、じゃまたね。」
私は部屋に戻ってさっと荷物を纏めると、イタチの後を追いかけ始めた。