第28章 ◇ 君がいない1週間 ◇ ③ ◇

ｼｽﾀｰ）「ごめんなさい」

ｱｳﾗ）「⋯なんで⋯シスターが謝るんだよ」

ｼｽﾀｰ）「あなたは⋯まだ医者になりたいのね」

ｱｳﾗ）「⋯⋯」

ｼｽﾀｰ）「学ばせてあげられなくてごめんなさい。でも⋯だからと言って助けるつもりがないのに人の命を簡単に拾う事をしてはいけません」

ｱｳﾗ）「⋯⋯」

ｼｽﾀｰ）「人の命は⋯そんな簡単に失われてはいけないのです。分かりますか？」

ｱｳﾗ）「⋯⋯」

ｼｽﾀｰ）「金儲けの為だけに医者を目指すのならやめなさいと言ったはずです」

ｱｳﾗ）「⋯別に、それだけじゃ⋯」

ｼｽﾀｰ）「アウラ⋯医者になると言う事⋯もっとよく考えなさい。人の命を預かると言う事⋯人を助けると言う事⋯ちゃんと考えなさい。分かりましたか？」

ｱｳﾗ）「⋯⋯」








分からないよ、シスター





俺には⋯分からない









両親は病気で死んだ





治らない病気でもなかったのに
俺はガキだったから何も出来なくて



周りの大人たちは何もしてくれなかった





金が⋯なかったから⋯






金があれば⋯






金さえあれば⋯





なんて⋯考えない日はなかった












この島にも医者はいる




でも金のあるやつしか助けようとしない医者



世界政府の言いなりの医者






この島では薬を手に入れるのも厄介なんだ











だから大人は嫌いだ
























そんな事を考えていた時
鍵を閉めたドアが音を立てた









ｶｲﾙ）「シスター！」








ドアの外ではカイルが激しく叩いていた








何事かと思いシスターが急いで鍵を開けに立ち上がって
俺は窓の外を見て⋯息を飲んだ







ｱｳﾗ）「⋯ぇっ！⋯⋯か、海賊？！」







外は火の海で海賊が暴れていた