第88章 番外編 ご報告
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時は夕刻となり、用事を済ませたキリは再び奈良家に向かい。
任務を終えたシカマルもまた、自宅へと戻っていた。
数日ぶりに顔を合わせたキリとシカマルは、挨拶もそこそこに食卓へつく。
そこには、すでにヨシノが準備していた料理が並んでいたからだ。冷めないうちに、食べ始めるのがいいだろう。
みんなで手を合わせて、キリも少しご無沙汰だったヨシノの手料理に、舌鼓を打った。
キリ「美味しいです」
ヨシノ「いっぱい食べていきなよ」
にこにこと笑顔溢れる夕食が始まってすぐ。不自然な咳払いをする男が一人。
シカ「ん゛んっ、あー…」
カチャリと箸を置いたシカマルに、一同の視線は自然と集まった。
その中で、ちらりとシカマルの視線がキリへと向けられる。
シカ(いいな?)
キリ(えっ…………え?)
シカマルのアイコンタクトに、キリは箸を口に運んだまま停止する。
キリ(えっ……?)
シカマルから、なにか強い眼差しを向けられているのはわかるのだが、その意図がわからない。
とりあえず、キリは咥えたままになっていた箸を下に置いてみる。
すると、こくりと頷いたシカマル。キリは内心焦りを感じていた。
キリ(な、何……? どうしたら……)
シカマルは今、キリに何を求めているのだろうか。
助けを求めて、シカクとヨシノに目を向けるが、どうやら二人も息子が何をしたいのかよく分かっていないようだった。
キリ(シ、シカクさん……ヨシノさん)
シカク(いや、俺は知らねぇ。キリも分からねぇのか。母ちゃん)
ヨシノ(あたしだって分からないよ)