第88章 番外編 ご報告
樹の里でも、最前線にいたキリ。
そんなキリにみんなが頼る流れが出来ていたため、キリは一人で無茶をしがちだったと。
樹の里で事件があった時からではなく、キリの頼り下手は、幼少期からのものであったらしい。
長年培われたそれは、ずいぶんと根深くて、ちょっとやそっとじゃ変わらないほど頑固そうではあるが。
まあそれは、シカマルが追い追いなんとかするだろうと期待しよう。
ひとまず今は、シカクが水面下で用意していたキリ養子計画を、どうやら遂行せずに済んだ事を喜ぼうではないか。
シカク「母ちゃん今日晩飯のあと、出掛けてくる。酒持ってってもいいか」
ヨシノ「いいけど、どこに?」
キリが来ているのに珍しいと、不思議そうなヨシノ。
シカクはにやりと、笑みを浮かべた。これから起こる展開と、話を聞いた時の向こうの表情を想像するだけで楽しい。
シカク「タヌキ親父に報告に」
ヨシノ「まったく、ほどほどにしなよ」
シカク「さぁて、どの酒を持って行くかな」
嬉々として、酒瓶を漁るシカクに、ヨシノの呆れた声は届いていないようだ。
極上の酒でなければいけない。
虎視眈々と、キリを狙っていた日向家の当主に、今晩挨拶にいくのだから。
キリが日向家で度々お泊まり会をしていた事実を知った時と、キリの体術の稽古をしている時に日向流柔術が垣間見えた時は、さすがに焦りを覚えたものだ。
しかし、この戦いにももう終わりが見えた。
シカマルとキリの交際報告をした時、ヒアシはなんと言うのだろうか。
シカク「今夜の酒は長くなりそうだな」