第62章 名コンビ
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雲隠れの里に着いたキリ達は、案内のままに、雷影の部屋にて横一列に整列する。
まさか雷影も雲隠れに訪れると共に、任務完了しているなんて、思いもよらなかったのだろう。
驚きの表情を見せた雷影からは、労いの言葉が届いた。
カカシ「いえ。お役に立てたのなら、こちらとしても嬉しい限りです」
そう答えれば、強面な雷影もニッと笑みを浮かべて、穏やかな報告会が行われていた時だった。
雷影「さて、確か……樹の里のキリ、だったな」
キリ「!」
突然の指名に、反応を示したキリは、ひとつ背筋を伸ばして、雷影を見据える。
キリ「はい」
雷影「久方ぶりだな」
キリ(……)
雷影とキリが最後に会ったのは、もう数ヶ月前になる。
任務中に雲隠れの抜け忍騒動に巻き込まれ、その際のあまりに失礼な雷影の対応に、キリが雷影の横っ面に蹴りを叩き込む。
という、ひどく運命的な出会いだったのだが、雷影は覚えているだろうか。
どうか、少しでも忘れていて欲しい。
キリ「……その節は、大変失礼を」
雷影「いや、いい。こちらにも非があった」
「過ぎた事はどうでも良いのだ」と、告げる雷影に、それでは一体何の用だと、意図がわからないキリは、曖昧に返答をするだけだった。
雷影「少しお前に話がある。二人にしてくれ」
シカク.カカシ「!!」
シカク「キリと……ですか。私も付き添っても?」
雷影「なに、とって食おうという訳ではない。じきに終わる」
雷影に笑い飛ばしてそう言われると、これ以上食い下がるのも憚られて、シカクはチラリとキリに視線を送る。
キリ「私は構いません」
外で待っていてくれと頷くと、まだ少し心配そうな顔を残しながらも、シカク達は部屋を退出した。
残された雷影とキリの間に、小さな沈黙が訪れて、それは、雷影によって破られた。
雷影「話、というのはだな……」
キリ「………!!」
雷影からの話は予想をしていなかったもので、キリは思わず言葉を詰まらせるしかなかった。