第60章 背中合わせ

シカ「～～っ、キリ！ 影真似がもう保たねぇっ」


シカマルの声に反応して、キリはくノ一に視線を向ける。すると、くノ一は影を捕らえられながらも、少しずつ印の組み上げを進めている事がわかった。

シカマルの捕縛が解かれるのは、もうすぐのことだろう。


キリ(これ以上は……)


サスケ達を解放したいが、ここは諦めるしかない。

粘れば粘るほどリスクが増すだけだと、キリが地面から手を離した時。


サスケ「火遁・豪火球の術！！」


熱風をあたりに散らしながら、サスケの等身大を越える火球が、一直線にくノ一を襲う。


キリ「！！」

サスケ「チッ」


その直後、ガラガラと再度岩に包まれた身体に、サスケは眉を寄せると共に舌打ちを落とした。


サスケ「悪い、ここまでだ」

キリ「充分」


タッとキリが火球の後ろについて走ると、火球が直撃したくノ一から悲鳴が上がる。


そんなくノ一に、キリがトドメの攻撃を叩き込めば、そのまま戦闘不能となったくノ一。


それと共に、伸びていたシカマルの影も、ぷつりと途切れて元の場所へと帰還する。


シカ(っぶねぇ、ギリギリだったな)

サクラ(サ、サスケくんかっこ良すぎぃ！)


なんとか術を保つ事が出来たシカマルが一息ついて、サクラがサスケの機転に見惚れていた時。

声を轟かせたのは、ナルトだった。


ナルト「っしゃぁあ！ 俺だってやってやるってばよ！！」