第58章 任務の裏側
チラリと部屋の中を見れば、怒気を撒き散らしている綱手と、任務がもらえるまでは帰らないと喚き散らしているナルト。
あれから、今の今までずっと、こんなやり取りを続けていたのだろうかと思えば。
げっそりとやつれたカカシとシズネの心労が、目に見えるように感じられた。
どうにか、それに巻き込まれないようにと退散しようとするシカマルと、逃すまいとシカマルの退路を断とうとするカカシの白熱した戦いがドア前で繰り広げられていた時。
後方から、綱手の怒鳴り声が響いた。
綱手「ったく、わかった! 今回のBランク任務に、3班ではなく7班での参加を認める」
ナルト「!!」
綱手「カカシ!!」
カカシ「はい!」
綱手「いいな、お前が責任を持って任務に当たれ」
ゴゴゴゴゴと背景に渦巻く何かが見えるほど、ストレスが最高潮に達しているらしい綱手の圧に、カカシは苦笑を浮かべて頷いた。
カカシ「はい。なんか、本当にすみません」
ナルト「いよっしゃぁぁあ!!! やったってばよ!!!!」
ナルトがそう歓喜するのを、バァンッと綱手が机を叩く音が中断させた。
綱手「……ナルト。いいな、次はない。調子に乗って次にまた同じ事をしてみろ。命はないと思え」
ナルト「う、うっす」
殺意すら感じられるそれに、ナルトも冷や汗を流して頷けば、続けて「とっとと出て行け」と怒鳴られ、一向はそそくさと退散する。
パタリと閉じられた火影室のドア。
ぴりぴりとした綱手の空気に当てられて、カカシとシカマルは長いため息を落とした。
シカ「……カカシ先生も大変っすね」
カカシ「……わかってくれる?」
ぴょんぴょんと初のBランク任務に喜ぶナルトを見つめながら、シカマルは幾分昼よりも歳をとって見えるカカシに同情した。