第43章 失敗
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その後、里についたキリたちは無事に任務報告も終えて、解散となる。
キリ「じゃあヒナタ、またね」
シノ「キリ、待て」
くるりと踵を返そうとしたキリを、シノが引き止める。
キリ「?」
シノ「キバ、お前このままでいいのか」
キバ「うっ……」
シノ「いつまで意地をはっているつもりだ」
キバ「っ、うるせーな! つーか、なんでお前らはそんなに普通なんだよ!」
キバの記憶の中のキリは、人の好意を悪意100パーセントで返してくるような失礼極まりなく、いけ好かない人物で、間違っても人のために動くような人物ではないのだ。
シノ「俺はアカデミーの頃から、特別悪く思ってはいない」
「かと言って、良く思っていたわけでもないが」と言ったシノに、顔をしかめてから、キバはヒナタへと視線を移す。
ヒナタ「わ、わたしは、アカデミーの頃から良い子だと思ってたから……」
キバ「………」
どうやら、この場に自分の味方はいないらしいと、キバは悟る。
そういえば、ヒナタは昔、下忍の班決めの時にキリと組むだとか、そんなことを言っていたのを思い出す。
そして、いつからそんな関係になっていたのかは知らないが、任務中のヒナタとキリを見た感じ、この二人、仲が良いのではないだろうか。
里までの帰り道でも二人はよく話していて、それにぽつりぽつりとシノがナチュラルに参戦し、むすっと押し黙っていたのは自分だけだった。