第42章 誤解の連鎖
シカ「まあ、そういうことだからよ。何かあった時はよろしく頼むわ」
もちろんキリとの関係は、自分でどうにかするつもりではいる。
しかし今日、キリとヒナタは思っていたよりも互いに好き合っているのが見てとれた。
そんなキリの友人が味方についているというのは、気持ち的に少し心強いような気がする。
そんな軽い気持ちで言った言葉だった。それに対して、ヒナタは戸惑いながらも了承してくれると思っていた。
しかし、しんとヒナタから返答がなく。不思議に思ったシカマルは、再び視線を戻した。
するとそこには、酷く難しそうな、辛そうにも見えるヒナタの姿があった。
シカ「あ、いや、特別なんかしてくれってわけじゃねーから安心しろよ」
変なプレッシャーを与えてしまったかと、慌ててフォローするが。
小さく首を横に振ったヒナタは、俯きがちに言葉を落とした。
ヒナタ「ち、ちが、うの……でも……」
ヒナタ(応援したい、けど……キリちゃんには……)
シカ「……!」
応援したいけれど自分には出来ないのだと、ほとんど声が消えていたヒナタ。この言葉の裏側が、思い当たってしまった。
ここまでヒナタが辛そうな顔を見せるその理由は。
考えればすぐに答えが出てしまって、どうかこの答えが間違っていることを願った。
シカ「キリ、に……好きな男がいんのか?」
ヒナタ「!」
そうだとは言わなかった。けれど、ヒナタのその表情が、それが真実であることを物語っていた。