第35章 35話 重たい犠牲
『狙い…? なんの話だ』
『あら、この子……樹の里から来た子じゃない?』
キリ「!!」
キリ(敵、じゃない……?)
先ほどまで相手にしていた暗部たちとは異なる対応。
この二人は恐らく見回り、または任務帰りの暗部なのではないだろうか。
キリ「っ! お願いします、助けて下さい! フミさんが! ここから真っ直ぐ北に行ったところで多数の暗部と戦っています」
『は? なんだ、どういうことだ』
キリ「狙われた私を庇って逃がしてくれました。お願いします! フミさんを……!!」
私の事はどうしてくれてもいいから、どうか助けてくれと。懇願すれば、暗部達には互いに視線を合わせた。
『どうする』
『どうするってねぇ』
ずいぶんと悲痛な叫びを上げる少女の言い分。
少女の焦燥感は真実味を帯びてはいる。
『フミって、あの?』
『多分そうじゃないか?』
フミ……といえば、昔その名を聞いたことはあるが。もうとっくに忍の世界を引退しているはずで、自分たちも共に戦ったことは無い。
そんな彼女がどうしてこんなところで暗部と戦うのか。