第35章 35話 重たい犠牲
敵はフミを邪魔者だと認識するだろう。そして、排除すべき存在だとも。
殺す気で向かって来るあの人数を相手に、無事で済むわけがないのだ。
だから戻ってくれと、頼み込んでも。イタチは木ノ葉に向かって駆けるばかりで、その足を止めようとはしない。
キリ「~っ!! どうして……っ、あなたの守るべきものは私なんかじゃ」
ないだろうと、そう言おうとしてイタチを見た時、その目に溜まっていた涙が流れていくのが見えて、キリは口をつぐんだ。
キリ「っ………どうして……」
キリのことなど、放っておいてくれていいのだ。
過去に、フミが自分を暗殺をしようとしたことも少しだって恨んでなどいない。そんなことを、気にする必要なんてない。
キリ「くっ……!」
どうにかフミのもとへ戻ろうと必死でもがいていると、イタチは唐突にその足をピタリと止める。
ドドッと何かが刺さったような生々しい音がして、前を向けば。キリたちの進行方向にいたのは、面をつけた二人の忍。
そこから投げられたであろうクナイが二本、白銀のイタチの体を赤く染めた。
すると、バッと視界は突然真っ白に変わり、感覚からイタチが真横に飛び跳ねたのがわかる。
視界が開けたと思えば、キリを守ろうとしたのか。イタチの尻尾に巻き付いたワイヤーに、キリは目を開いた。
キリ「やめて下さい! あなた達の狙いは私でしょう、この子は関係ありません!!」