第32章 背中の重み
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ーーその後の二人ーー
キリ「シカクさん」
シカク「キリ? どうした」
自分の名を呼ぶキリが、どこかつらそうに見えて、シカクは少し早足に歩み寄る。
キリ「本当にすみませんでした」
突如、深く頭を下げたキリに、一体なんの事だと困惑の色を示していると、キリは言葉を続ける。
キリ「任務の最中に意識を失うなんて、本当にご迷惑を……申し訳ありません」
シカク「!!」
キリの、少し震えた声が響く。
シカク「何言ってんだ! お前は充分過ぎるほど良くやってくれた。そんなお前を責める奴なんているわけねーだろうが!」
いまだ頭を下げ続けているキリの拳が、固く握られているのが分かる。
シカク「キリ、頭を上げてくれ。謝るなら俺の方だ。お前にこんなにも無茶させちまった」
シカクは、ふるふると小さく首を横に振ったキリの頬に、スッと手を添える。
シカク「キリ、頼むから頭を上げてくれ」
そう言えば、ようやくゆっくりと顔を上げてくれたキリの表情を見て、シカクの胸は痛いほどに締め付けられる。
シカク「なんて顔してんだ……ずっと気にしてたのか」