第4章 初演習で
シカ(女相手に体術なんてやりづれー)
当たってくれるなよ、と紙をひとつ手に取ると、8番と書かれていた。どうやら相手はシカマルではなかったようだ。
チョウ「わっ」
後ろから聞こえてきた声に振り向けば、チョウジが1番と書かれた紙を見て困った顔をしていた。
チョウ「……シカマル」
シカ「まぁ、なんだ。楽にやれチョウジ」
肩を落としてとぼとぼと歩いていく親友を哀れみつつ見送る。
イルカ「おっ、1番はチョウジか。キリ、チョウジ、前へ来い」
イルカ「今日は本来2対2の試合形式だったんだが、キリは初めてだしな、いきなり誰かと組むのもやりにくいだろう。まず1対1で試合をしよう。後は予定通り順番で2対2の試合をするからちゃんとクジ持っとけよ」
「ちょっと先生!転校生だからって、特別扱い?」
「そーよ!でも、2対2なんてあの子と組む子が可哀想」
「じゃあ1人でいいんじゃない?あの子だって私たちと組みたいなんて思ってないでしょ」
「そうよ、いつも1人だし。関わりたくないんでしょ?なら1人で出来るでしょ?」
くすくすと笑いながら言う生徒たちにイルカが眉間に皺を寄せる。
イルカ「こら、みんなやめろ。ただでさえ初めての演習なんだ。無茶言うな、試合は1対1で行う」
「あんなに普段えらそうにしてるんだから、ペアなんて要らないでしょ?」
イルカの制止も聞かずに、生徒たちは2番は誰だ誰だと探し始める。
誰も名乗りを上げなかったが、中で1人顔を青ざめている生徒がいた。シカマルがそいつの手元を見れば2番と書かれた紙を持っていた。
中々現れない2番手。それぞれが互いの紙を確認し合い、ついに持ち主は発見された。
「あっ、ヒナタじゃない!もう、なんですぐに言わないの?」
ヒナタ「で、でも…」
ほら早く、と背中を押されて半ば無理やり連れられていく。
イルカ「お前たち、いい加減に「構いません」
キリ「私なら、構いません」
ついに叱りつけようと口を開いたイルカをキリが遮った。