第6章 強くなるために
ある日。
善逸、伊之助が名前の屋敷で呼吸の修行をしていると、先に修行を終えていた炭治郎が道場へと走ってきた。
「伊之助ー!!」
『どうしたの炭治郎』
伊之助の名前を呼ぶ炭治郎は明るい顔をしている。
「打ち直してもらった日輪刀がくるんですっ!」
「ほんとかっ!!」
伊之助も嬉しいようで飛び跳ねて炭治郎の元へ行った。
炭治郎と伊之助は先の那田蜘蛛山で刀が折れていたため、刀鍛冶の人に打ち直してもらっていた。
『良かったね。じゃあ今日はここまでにして蝶屋敷に帰った方がいい』
名前は修行を切り上げて三人に言う。
善逸も伊之助も大分形になってきたので、もう大丈夫だろう。
「ありがとうございました!またサナエさんのご飯食べに来ていいですかっ!?」
「出来るのはあたりめーだったけどよ!!少しは勉強になったぜ!!」
「伊之助!しっかりお礼を言わないと!」
三人はわいわいと騒ぎながら蝶屋敷へ帰って行った。
『ふぅ』
道場に一人残った名前は小さく息を吐いた。
三人が居なくなると途端に静かになり、外の木の葉が揺れる音が道場に響き渡る。
普段はあまり使わなくなってしまっていた道場をこんなにも連日使ったのは久しぶりで、つい幼少期を思い出してしまう。
思い出に浸りながら暫くそのまま外の音を聞いていたが、ふと名前の鴉が道場に入ってきた。
「カァーカァ、名前、炎柱ガヨンデイル。スグニ行クヨウニ」
『炎柱……煉獄さんが?』
煉獄からの突然の呼び出し。
任務だろうか。
名前は汗を拭き身なりを整えると、屋敷を後にした。
……
煉獄はとある宿場町の蕎麦屋に居た。
「うまい!!うまい!!」
『煉獄さん、苗字名前です』
見ると煉獄は既に五杯も蕎麦を平らげているようで、空いた器が綺麗に重ねられて机の端に置いてあった。
名前を呼ばれた煉獄は名前の方を向いた。
「名前か!よく来た!君も食べたまえ!!」
『は、はぁ……えっと、用件は……』
「食べたまえ!!うまいぞ!!」
食べるまで話は始まらないと思ったのか、名前は苦笑いをして店主に蕎麦を注文した。