第22章 似合わないもの【恋仲修行 〜三成目線〜】
「三成君助けてっ!」
「伽耶様……?」
猫さんを膝に乗せ撫でていると、伽耶様が慌てた様子で部屋へ入って来た。
「突然来てごめんね。いま大丈夫?」
「はい。どうしましたか?」
「あのね、私に読み書きを教えてほしいの」
「読み書き…ですか?」
「う、うん。お恥ずかしながら、私この時代の文字の読み書きがあまり出来なくて、あ、もちろん自己流で勉強はしてたんだけど上手くいかなくて、だからちゃんと勉強したいなって…」
少し頬を赤くして、伽耶様は俯いた。
(ふふ、可愛らしいな)
伽耶様は信長様の思い人でありながら、針子としても一流の腕を持つ素敵な女性で、とても可愛らしい方だ。
「私でよければ、いつでもお教え致しますよ」
「本当っ!」
歓喜の声をあげ飛び上がった伽耶様の手には、文の様なものが握られている。
「その文は、もしかして伽耶様が信長様に書かれたものですか?」
(間違いがないかを、確認して欲しかったのでしょうか?)
「あ、ううん、これは違うの。その…他の女性が信長様に送った文で…頭に来て持って来ちゃったって言うか…」
(どうしたのでしょう?歯切れが急に悪くなった…?
ああ、そうか!)
「なるほど、その文の内容を教えて欲しいと言う事ですね」
「え?違っ」
伽耶様が遠慮をされていると思い、私は伽耶様が握り持っていた文を手に取った。
「あ、あの三成くん…、人の文を勝手に読むのはちょっと…」
伽耶様はバツが悪そうにゴニョゴニョと何かを言っていたが、困っているに違い無いと思い、私は文を開いて中を読んだ。