第4章 呉-1
虎牢関のあと。
腕を買われ。
私は今 呉に来ていた。
「早苗!いっくよ~」
孫尚香と手合わせ中であった。
孫堅がじゃじゃ馬娘の遊び相手、
もとい 護衛にと。
私は招集されたらしく。
着くなり、孫尚香の前で
槍を振るうと気に入られ。
こうして、日々
相手するようになっていた。
夏圏という武器は。
機敏な孫尚香にぴったりであった。
殺傷能力もそれなりにあり、
ふたつ持って振り回せば。
いろんな角度で、
相手を切りつけることが出来る。
「それに、女の子っぽいよね」
アイドルみたいな顔しちゃって。
眼、おっきい。きらきらしてるよ。
劉備、これに浮気したのか。
ロリコンか。
「えいっ」
「おおぅ、」
ぼうっとしていた。
危ない、危ない。
「姫様。こちらでしたか」
練師。孫尚香の女官。
確か、そのうち
孫権の側室かなんかになるひと。
「きっっれ~…………」
どいつもこいつも面食いらしい。
当然か。そりゃあ、
綺麗な方がいいに決まってる。
「早苗様も、ご一緒に」
食事の用意が出来たと、
呼びに来てくれたようだ。
私が来てから、四六時中
孫尚香に付いていたいた練師は。
ちょこちょこ席を外すことが
出来るようになって、
助かりますと言ってくれた。
「孫権と、逢引してたりして…………」
孫尚香がうきうきと
城に入っていくのを追いながら。
下世話な想像が、つい口から。
「!?」
練師が顔を真っ赤にし、振り返った。
うわお 当たりですか
孫権ねえ
面白味なさそうだけど
にっこり微笑み。
孫尚香には内緒の方がいいの?と聞く。
練師は恥ずかしそうに、こくりと頷いた。
「あ、早苗でいいからね」
モブなんだから。
様 なんて止めてほしい。
練師は ?? と首を傾げ。
あっ、堅苦しいの嫌だし!と説明し。
城に入る早苗であった。