第3章 呂布って逃げるしかないやつですよね
呂布は。
ひとり、逃亡しているのだろうか。
愛馬を奪われ。
貂蝉からも、捨てられ。
「―――――……」
早苗は眩しそうに、空を見上げた。
青い空に、白い雲。
元いた世界と、同じ。
感じる、風も。
今 生きていることを、感じる。
「これで……よかったの、かな」
董卓に苦しめられた、たくさんのひとたち。
そのひとたちは、報われたのだろうか。
ありがとうと。
思って、くれるのだろうか。
「………戻ろう」
早苗は緩く手綱を握る。
もう速く駆ける必要は、無い。
途中、張飛に声を掛けられ。
何故か一緒にいた、趙雲と共に。
劉備らの元へ向かう。
袁紹が。大きな声で
勝利を称えている最中であった。
「………お気楽な大将だな」
赤兎馬を引きながら。
こちらに気付いた関羽に手を振る。
「兄者!」
張飛が関羽の元へ。
残された趙雲は、こちらを見ていた。
「なにか?」
「戦女神であったとは、失礼した」
自分が教えるなど、無礼をしたと謝られる。
「ええ?いや、そんな別に」
なんか また
崇められてるよ
違う 違う
何もしてないって
赤兎馬に乗って走っていたからだ。
目立ちまくってしまったのだろう。
「えーと。ただ逃げてただけなんで」
いかん いかん
モブなんだよ
目立っちゃあ
駄目 だめ
「お、」
曹操 孫堅たちもいる
魏 呉 蜀 勢ぞろい。
「………………」
このまま行けば。
蜀ルートまっしぐら。
…………どうするべきか。
もう一度。
ストーリーを思い浮かべる。
安泰な国なのは、魏かな。
そのうち司馬家に乗っ取られるけど。
そう考えると。
知ってる範囲では、呉か。
劉備はなんせ
まだまだひよっこ扱い。
これから、だからね。
「変えるなら、今 だよね」
これから。
誰についていくか―――――