第7章 夢の中の人は。
"、、、生きて、、、幸せになって、、、"
『・・・お母さ、、ん、、、』
崩れてきた土砂の山の前に立ち尽くす。
私の足元には小さなサンダルが転がっていた。
『・・や、、やだ、、、一人にしないでっ、、、』
泣き叫んだところで、母はもう助からない…
私はおぼつかない足取りで土砂に塗れた境内を歩く。
まるで地獄絵図だ…。
綺麗に飾られた七夕飾りは薙ぎ倒され、瓦礫からは血塗れの手が伸びている。
みんな、、死んじゃった、、、、
雨に濡れた身体は冷え、体温を奪っていく。
・・・・なんで私だけ生きてるの、、、
ふと瓦礫の下に落ちているペティナイフが目に入った。
ふらふらと近づき徐に手に取った。
・・・ほんの少し前にお母さんがお祭りの最後に振るまう素麺の薬味を切っていたのを思い出す。
『・・・お母さん…1人にしないで…』
私はそれを自分の左手首に当て目を閉じた。
涙が頬を伝い、手首からは温かい感触を感じる。
ーーー不思議と痛みは感じない。
ポタ、ポタッ、と地面に滴る赤い血をぼんやりと眺めながら、あとどれぐらいで私は死ねるんだろう、、、と考えていると、
鳥居の方から声が聞こえて来た。